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春の塗絵大賞結果発表

第5回塗り絵コンテスト「春の塗絵大賞2007」に多数のご応募ありがとうございます。計301点の作品から選ばれた大賞、部門賞、特別賞14点を以下にご紹介します。審査委員長の選評とともに、じっくりご鑑賞ください。

【総評】塗り絵アドバイザー・山越 達夫
そっくりであれ、ユニークであれ、今回の受賞作品に共通するのは、遠目では見えにくい細部に神経を使って塗られていることです。全体を引きで見た瞬間、「うまい!」と思わせる作品はみな、近くで目をこらして見ても隙がありません。「春の塗絵大賞」は回を重ねるごとにレベルアップし、各部門、各賞とも難関になりましたが、目立たないところでも妥協せず、最後まで均質な仕事をする職人のように1枚の絵と取り組むことが、結局は受賞への近道なのではないかと思います。

大賞以下14点の受賞作品を「第1回世界ぬり絵大会」の会場で展示しました。 作品展のレポートは、こちらのページをご覧ください。

応募全作品を見る

春の塗絵大賞および西洋画部門そっくりで賞埼玉県 伊藤 豪さん


埼玉県 伊藤 豪さんの作品

作品名「真珠の耳飾りの少女」(フェルメール)  使用画材:水彩色鉛筆、筆ペン

【受賞者のコメント】伊藤 豪さん
この「真珠の耳飾りの少女」には、何か引きつけられるものがありました。真っ暗なバックと対照的に少女には光が当たり、その陰影で浮き出る表情や色の変化がすばらしく、できるだけフェルメールに近づこうと、穴が開くほど原画を観察して描きました。苦労した点は、顔と調色に神経を使ったことと黒を多く使ったことです。描きはじめて毎日3時間程度、だいたい一週間ほどで仕上げました。このような賞をいただき、たいへん恐縮し、心からうれしく思っています。

【選評】塗り絵アドバイザー・山越 達夫
真っ黒に塗り重ねた背景においてすら、一本一本の筆はこびに意味のあるのが感じられる力作です。真珠、布、肌それぞれに異なる質感を追求し、各部分ごとに明暗を塗り分けるという手抜きのない作業によって、フェルメール独特の光を再現しています。肌に緑色を織り交ぜたり、暗い影の中にまで色を作ってあったりと、色彩に対する鋭敏さがうかがえます。水彩色鉛筆と筆ペンを使われたそうですが、2種類の画材が画面上で分離せずに編み込まれ、ひとつの絵の中に定着しています。そうした細部に対する“執念”にも似た努力が、遠目で見たときの美しさを支えているのです。

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植物・鳥部門そっくりで賞愛知県 小野 裕一さん


小野 裕一さんの作品

作品名
「ロサ・ルテア&ロサ・インディカ」(ルドゥーテ)

使用画材:油性色鉛筆

【選評】塗り絵アドバイザー・山越 達夫
塗り重ねのノウハウを知っている人が、時間をかけて慎重に色づけしたのだろうと思わせる完璧な仕上がりです。水滴など、今にも葉からこぼれ落ちそうな質感と立体感があります。失敗を直したような跡が見あたらないので、筆を置く方向から色を塗る順序まで、すべて計算の上で潔癖な作業をなさったのでしょう。とにかく色鉛筆でこのようにシャープな表現のできる人はなかなかいません。淡いピンクの中にうっすらと青を使うなど、随所に微妙な色のニュアンスが生きており、「原画見本よりきれい」という声も。

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春の塗絵大賞および植物・鳥部門ユニークで賞千葉県 伊藤 節子さん


千葉県 伊藤 節子さんの作品

作品名
「パンジーのブーケ」(ルドゥーテ)

使用画材:水彩色鉛筆

【選評】塗り絵アドバイザー・山越 達夫
まず、原画と違う配色のセンスが目を引く作品。花色を原画より明るくする一方、葉は落ち着いた色調にとどめてあるので、軽くならず引き締まった画面ができました。葉の奥の黒っぽい緑が白い花を浮き立たせる役を果たしています。花びらの陰影に黒を使わず青系の色を選ぶと、このように“濁り”ではなく“深み”のある影となり、花の鮮やかさを失わずにすみます。水で伸ばした面と鉛筆の線を両方生かせる水彩色鉛筆の特性を使いこなしつつも、そのワザが突出しない自然な作風に好感がもてます。突飛さはないけれど、楽しんで描いた雰囲気が伝わってきて、塗り手の人柄を感じさせる作品です。

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春の塗絵大賞および植物・鳥部門ユニークで賞埼玉県 森田 嘉代子さん


埼玉県 森田 嘉代子さんの作品

作品名
「東海道五十三次・御油」(歌川広重)

使用画材:油性色鉛筆

【選評】塗り絵アドバイザー・山越 達夫
もともと油性色鉛筆は浮世絵の塗り絵に適した画材ですが、それにしても24色のセットでよくぞここまで原画の複雑な色を再現したものだと、頭が下がる作品です。たとえば、地面や空のグラデーションの、次の色へと移行する中間の微妙な色あいがきれいです。大地を濃く塗ったところでは、混色によって絶妙な緑色を作り出しています。鉛筆の方向性をよく考えながら全体にばらつきのないトーンで塗ると、このように遠くで見ても近くで見てもきれいな画面に仕上がるという、模範例のような塗り絵です。

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浮世絵部門ユニークで賞東京都 山梨 敏彦さん


東京都 山梨 敏彦さんの作品

作品名
「東海道五十三次・箱根」(歌川広重)

使用画材:水彩色鉛筆

【選評】塗り絵アドバイザー・山越 達夫
一見して水墨画のような色づかいと、オリジナルには存在しない霧が目を引きますが、この作品のユニークなのはそこだけではありません。よく見ると、さざ波、笹や松の葉、岩肌など、原画にも線画にもないディテールがそこここに描き込まれており、間違い探しに似た楽しさがあります。これほどアレンジしているにもかかわらず、個々の描写が絵から逸脱せず、見る者に違和感を与えないのが立派です。何より筆はこびにオドオドしたところのないのがいい。霧の東洋的なバランスを見るにつけても、水墨画を描き慣れた方ではないでしょうか?

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西洋画部門ユニークで賞兵庫県 佐伯 祥治さん


兵庫県 佐伯 祥治さんの作品

作品名
「星月夜」(ゴッホ)

使用画材:油性色鉛筆

【選評】塗り絵アドバイザー・山越 達夫
ゴッホの原画が粗いタッチの油彩であるがゆえに、“悪い意味で”解放され、雑になる人が多いなか、この方は“良い意味で”抑制のきいた塗り方を貫いています。形の冒険はないけれど、色の強さ、色のバランスで魅せる作品。鮮やかなオレンジが印象的ですが、反対色の緑とケンカしていないし、空や山の青も沢山の色と面白く共存している。佐伯さんはルノワール、シスレー、ドガの作品も応募されており、すべてに共通する「佐伯さんの色」を持っています。西洋画塗り絵における独自の色を見つけたという意味で、ユニークで賞にふさわしい塗り手です。

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日本画部門そっくりで賞埼玉県 森田 嘉代子さん


埼玉県 森田 嘉代子さんの作品

作品名
「星まつり」(竹久夢二)

使用画材:油性色鉛筆

【選評】塗り絵アドバイザー・山越 達夫
特殊な技法や画材に頼ることなく、ただただ繊細な塗り方で勝負した作品です。笹の葉のかすかなグラデーションや、前髪の毛先の描写など、パッと見ただけでは気づかれない細部へのこだわりが絵全体のクオリティを引き上げています。かなり細かい線画に数多くの色を持ち込みながら、隣り合う色が混ざり濁っていないのがお見事。背景のかすかな“汚し方”もうまいですね。24色の色鉛筆でこれだけリッチな色彩を表現している点も高く評価しました。

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日本画部門ユニーク賞愛知県 スイさん


愛知県 スイさんの作品

作品名
「黒船屋」(竹久夢二)

使用画材:水彩色鉛筆

【選評】塗り絵アドバイザー・山越 達夫
意図的に塗らない部分を作ることによって、光と影を表現するのがうまい人。塗り残す箇所や面積がランダムなせいか、単なる縁取りとは違う、ニュアンスのある濃淡となっています。青っぽい着物をはじめ、どの部分も必ず2色以上使い、「何色」と名づけがたいあいまいな色を作ることで、淡いけれども軽くない絵に仕上げています。「黒船屋」の文字は黒一色で塗っていますが、ここも余白を持たせることで強すぎるコントラストを避けました。濃淡にしろ配色にしろ、法則ではなく直感的な決断でバランスを見極めながら、即興で塗られたような軽やかさが感じられます。

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ポストカード部門そっくりで賞東京都 長谷川 緑さん


東京都 長谷川 緑さんの作品

作品名
「スパニッシュ・アイリス」(ルドゥーテ)

使用画材:透明水彩

【選評】塗り絵アドバイザー・山越 達夫
透明水彩で原画そっくりに仕上げた作品です。原画よりはるかに小さな線画を塗るために、おそらく小さい筆を選び、根気よく細部と取り組んだことが、全体の美しさに反映されています。この方は特に白い絵の具の使い方が上手です。白を前面に出すのではなく、赤い蝶や紫の花を引き立てる形で採り入れているのが心憎い。葉には黒い色を持ち込んでいますが、茎の緑を汚さないよう筆はこびの方向や塗る順番を考えているのが感じられます。落款も効いていますね。絵全体を引き締める位置に押したあたり、どこか日本的なセンスも感じさせます。

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ポストカード部門ユニークで賞部門ユニークで賞奈良県 釘澤 承子さん


奈良県 釘澤 承子さんの作品

作品名
「青スイレン」(ルドゥーテ)

使用画材:水彩色鉛筆

【選評】塗り絵アドバイザー・山越 達夫
青スイレンがレインボーカラーに!!  塗り絵だからこそ気軽にできる色遊びを大いに楽しんでいるのが伝わってきて、思わず真似したくなる作品です。色鉛筆の色をそのまま紙にのせている素朴さ、七色の並びに規則がありそうでなさそうな気楽さが心地いい。花びらを単色で塗る一方、葉っぱには多彩な色を混ぜ込んでいますが、黄緑とオレンジという、ともすればぶつかりがちな補色同士を上手になじませています。子供のように自由な発想ながら、子供っぽくない花のポストカードに仕上がっているのは、そうしたバランス感覚のたまものでしょう。

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特別賞 ステッドラー賞東京都 狩野 八重子さん


東京都 狩野 八重子さんの作品

作品名
「夜のカフェテラス」(ゴッホ)

使用画材: 水彩色鉛筆

【選評】ステッドラー日本株式会社
回を重ねるごとに応募してくださる皆様の技術が向上し、目を見張るばかりです。ステッドラー賞に選ばれた作品は、他の画材を使用せず水彩色鉛筆だけで完成させている点、重ね塗りをする際の色の選び方などに独特のセンスを感じました。塗っている時の楽しさや完成させた際の満足感が伝わってくるような力作です。

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特別賞 ステッドラー賞埼玉県 山崎 退さん


埼玉県 山崎 退さんの作品

作品名
「落穂拾い」(ミレー)

使用画材: 油性色鉛筆

【選評】ステッドラー日本株式会社
底抜けの明るさに魅かれました。こんなに楽しそうな落穂拾いだったら参加してみたい!大きく描かれた輝く太陽と、信号機カラーの衣類をまとった女性たちが目を引きますが、ひそかに気になるのは、後方に小さく見えるカウボーイ風の、馬にまたがった男性です。なんと彼、さりげなく光を放っています。細部へのこだわりもステキですね。原画を忠実に再現できるのは、塗り絵の大きな魅力ですが、名画を自分色に塗り替えられるのも、塗り絵ならではの魅力なのだと気づかされる作品でした。

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特別賞 ホルベイン工業賞埼玉県 横瀬 久美子さん


埼玉県 横瀬 久美子さんの作品

作品名
「フラワー・リース」(ルドゥーテ)

使用画材: 透明水彩

【選評】ホルベイン工業株式会社
花は水彩絵具の特性を生かすのにとても適した画題です。この作品にはそんな水彩の魅力が存分に発揮されています。無数の葉脈や花粉、点描のような花びらの模様なども細い筆先で根気よく描けば、これだけ緻密な表現ができるということ、そして透明水彩はこのように鮮やかな色を作れるのだということを、この一枚の塗り絵が証明してくれています。今回、全応募作品を生で拝見し、塗り絵は立派なアートだということをあらためて実感いたしました。

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特別賞 技術評論社賞三重県 山門 和美さん


三重県 山門 和美さんの作品

作品名
「洗濯物のある家々」(エゴン・シーレ)

使用画材: 水彩色鉛筆、白の顔彩

【選評】株式会社技術評論社 書籍編集部
屋根の細かな彩色がていねいにほどこされ、また原画さながらの壁の質感が印象に残る作品。落ち着いた色を多く使う中で、壁の凹凸や汚れも見せ、建物が浮かび上がるような立体的な仕上がりとなっています。塗絵倶楽部の塗り絵コンテストも第5回を迎え、ますます腕に磨きをかけた塗り手たちの、バラエティに富んだ作品に出会うことができました。そして応募される方の創造力に驚きながら、楽しく選考させていただきました。

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惜しくも選外となった作品もすべて展示しております。301点の塗り絵の競演をゆっくりご堪能ください。

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